出たな!ツインビー
・PCエンジンHuカード「出たな!ツインビー」は、私の幼少の思い出がふんだんに詰め込まれたタイトルである。
イージーでかつコンティニューは最大、とはいえ、人生で初めてクリアしたシューティングである。エンディングに感激し、前触れも無くその直後に始まったノーマルモードは、すわ地獄の始まりか、というすさまじい猛攻で、ドラゴンスピリットに並び、しばらくはトラウマであった。
そういえば友達も無く、親が仕事へ出て行った後は、一人でずっとこのゲームのサウンドモードを起動していたっけか。
まあ、これ以上の思い出話など書くつもりはない。今回の記事の肝は、このサウンドモードである。
「出たな!ツインビー」で使用されている曲は、どいつも揃って泣き所を押さえていて至極よろしいのである。
代表を上げるならばステージ3「天空の城塞ラピュタ」、タイトルからしてまんま宮崎である。サビが良いうえ、ゲーム中、このステージは惑星メルの上空に位置しているため、雲上の要塞の町並みの美しさと曲がマッチしている。さらに雲を抜けると、眼下一面に広がる海である。ここでちょうど、曲がループしてボスが出現するのだが、ここでのタイミングがまた素晴らしい。思い出ばっかりである。
そして次のステージが、「死の谷」という設定のおどろおどろしいイメージとはかけ離れた切ないメロディなのである。今思えばきっと、ナウシカステージであろう。溜め打ちも効かないような硬い敵がわんさか出てきたなあ、と苦い記憶も蘇る。ボスは電気くらげ。単純な攻撃ながら、幼い自分には攻略法を編むのにてこずった相手である。
ステージ5「水上の行進」、これはイントロからすさまじい。何度泣かせれば気が済むのか、というほどしつこく泣きメロが繰り返される展開、そうかと思えばループ直前にハードな部分が挟まれる、技である。水源ステージであり、それらしい地上のヴィジュアルと底なしの闇とのギャップが静かに心に響いたのと似ている。そう、このようなステージのイメージとのシンクロが巧いのだ。それが涙腺を刺激する。
そしてHuカードの限界からだろうがひとつステージが省略されるので、ステージ6に関しては私は記憶に無い。
本来のステージ7、ラストを飾る「霧の向こうのパラダイス」。黄色の、幻惑的な雲に隠されたその先には、自機であるツインビーのコピー体とカテドラルが待ち受けていた。厳格な雰囲気に圧された私を、さらに驚愕させたのはラスボスの姿とその攻撃である。
左右からめちゃ速くてデカイ弾がぶんぶん飛んでくるって、どーゆーことよ?
毎回、ここでコンティニューのほとんどを使い果たすが、その無敵時間とフル装備サポートを利用した捨て身の神風特攻は非常に有効と言えた。なんせ無敵である。ひたすらボスの弱点の前に陣取ってショットの連打、連打。勝てないはずが無い。あの頃の私が考えた、唯一の対抗策なのだった。このラスボスの曲も迫力があって好きだったな。今でも空で歌えるほど好きだ。
エンディングも、死力を使い果たした心を潤し、達成感を覚えさせる素敵ミュージックである。
と、まあ、計画性も無いままここまで書いたが、そもそもの目的も特に無い。
あこがれたサウンドトラックも手に入れられず、このツインビーに関しては諦めていた私が、ついにFM音源(68K)版を拾ったので、記念として残しておきたかった。その衝動だけである。技術の進歩と、そして過去のコナミに感謝、感謝である。